遺品整理体験談:愛と記憶を尊重する片付けの物語

46歳女 ご近所の遺品の整理をした両親に尊敬しました。

40代の主婦です。

私が、高校生の時に、隣の家に住んでいた老夫婦の奥さんが亡くなられました。心労もあるだろうと、私の母は、よく夕飯のおすそ分けを私に持っていかせました。

当時は、そんなに意図を感じませんでしたが、コンビニなんてなかったので、ご主人が奥さんを亡くされた事に対しての、母の気遣いだったのだと思います。

物静かな老夫婦でしたので、私は、とても仲良く過ごしたという思い出はありませんが、穏やかな方でした。

しかし、半年後、ご主人も亡くなられてしまいました。

両親は、そのご主人が奥さんを亡くされた後、家の鍵を預かっていました。ご主人も御身内が近くにいなかったので、不安を感じていたのだと思います。

彼らの子どもさんという方が、わが家に挨拶に来られ、当分家はこのままにしておくと説明をし、私達が、老夫婦ととても親しくしていたと思ったのか、もし欲しい遺品があれば、持って行ってくれて構わないと言われました。鍵も持っててくれていいとも言われました。

両親は、彼らの滞在時間を考えて、部屋の掃除などしていないだろうと、風を通して家が傷まないようにと、部屋の整理をしました。

何かは片付けていたのだろうと思いますが、夕飯を届けに行っていたままの様子に、逆に悲しくなり、私は、そのままで帰っていくなんて、と不満をあらわにしましたが、両親は、彼らにも家庭があって、時間がないんだろう、老夫婦にお世話になったお返しはしよう、というような事を言っていました。

骨董を集めるのが好きなご主人でしたが、家に同じ一輪挿しがあったので、両親に聞くと、母は、ご主人は歳を重ね、身体が思うようにならなくなった頃から、父が病院に連れて行ったりしてあげていた事に感謝して、これくらいしか高価なものはないから、もらって欲しいと言われて預かったけれど、こんな事になったので、親族の方が必要になるかもしれないと、戻したと聞きました。私は、両親の好意だけで、人のために動く事ができる行動力やあたたかさを感じ、深く尊敬しました。

両親は、綺麗に掃除し、少しでもご遺族が持って帰ろうと思えるように、遺品の整理をしていました。

自分の両親に誇りを感じました。

48歳女性 高額な費用と労力を費やした遺品整理

実家の父親の遺品整理についてです。私は父親とあまりそりが合わず…というか、父とそりが合う人はほぼいなかったに等しいですが…。

私には未婚の兄がおり、兄は父と二人暮らしでした。兄も父とは良い関係とは言えませんが、少なくとも私よりは父に気を遣って暮らしていました。そんな父は中古品(特に家電系)を買うことが趣味で、私からしたら病気に近い状態でした。

使う目的というよりは買う事が趣味といった感じで、購入後はそれが家を占拠するという所謂ごみ屋敷に近い自宅でした。生前、常々、父には『亡くなった時この中古品は価値がなくなって廃棄するのにお金がかかるから、一つ買ったら一つ捨てるとかやってくれないと困る』と言っていましたが、意固地な性格の父親はそんな意見は一切聞かず、物を増やす一方で悩みの種でした。

そんな父も80歳を超え、高齢だったため亡くなりました。田舎の為、お通夜等は自宅で行うのが慣習で、まずはお通夜等が行える場所にしなければならず部屋の片づけに一苦労でした。その後葬儀を終えて、自宅を片付ける事になったのですが、物が溢れかえっている中で何をどうして片づけていけばいいか途方にくれました。

その上、好き勝手やっていた父は自分の死後の方針を一切誰にも伝えず、文章にも残さずで、私は負の遺産ばかり遺されたという思いで一杯でした。古い家電は重量が重いものが多く、簡単に片づけられるものの方が少なかったです。

兄と相談し、迷わず片づけ業者の方に依頼しました。思い入れのある物、残したいものなど選定する気力もないほど次から次へと家電が出てくる始末でした。

ブラウン管のテレビ、ビデオデッキ、PC、プリンター、もっと大きなものではコピー機、それも各1台ではないのです。

ほとんどが複数台。種類にしたら何十種類で、業者の方へは総額の見積をしていただき、期間も業者の方のご都合のつく日に作業していただく約束で1~2ヶ月かけてお願いしました。家電は古いものはお金にならない物もあるとの事で、片づけるのに100万円以上かかりました。

世間一般の故人を凌いで遺品を整理する…なんて状況とはかけ離れた遺品整理となりました。

28歳女、遺品整理で先の人生への光を志す

私は20代後半の女性です。

以前、母方の祖母が亡くなった時の体験を話します。

私は祖母とは別居しており、祖母は別居先の家族と生活していました。祖母は入院してから1年もしないうちに亡くなってしまいました。

遺品整理は亡くなる直前に、祖母の息子の奥様がやってくれていたようです。

私や母は、祖母が亡くなってから遺品を見せてもらい、持ち帰るかなどを決めました。

確か49日を過ぎた後にきちんと整理しに行きました。

祖母がよくつかっていたハンドクリームやシッカロールは私自身、幼い頃に見覚えがあり、目頭が熱くなりました。

また、まだ祖母のにおいが残っているような、まだ生きているのではないかと不思議な気持ちになりながら遺品を手に取って眺めていました。

物にも使っていた人の魂が宿るのかもしれない、そんな気持ちにさせられました。

もっとまめにお見舞いに行き、祖母にとって大事な物事は何かと聞いておくべきだったなと本当に後悔しています。

いつも自分より子供や孫の事、人の心配をしているような面倒見の良い祖母でした。

入院してから、祖母に会うのがとても怖かったです。

だってあんなにしっかりしていて、いつも陽気に笑っていた祖母が弱って、床上から動けないでいるだなんて・・・。

祖母自身も、人前で弱気な所を見せたがらない部分があったのでそれを思うとお見舞いに行くことで無理させてしまうかもしれない。

そう思うとなかなか行く事ができませんでした。

祖母よ本当にごめんなさい。

私が後悔し続け、弱虫でいる事で、祖母は亡くなっても安心できないような気がします。

だから私は強くなります。

祖母が安心だって心から思えるように、前しか見ません。そんな勢いで生活していこうと思います。

遺品には本当に生前からの人間との思い出が詰まっています。

本人が本当にずっと何年も使っていたもの等はまだ神棚の近くに置いてあります。

これから遺品整理をなさる方に一つ言えるのは、姿見などの鏡は処分した方が良いという事です。

故人を映し続けたものが生きている者の姿を映すというのはあまり縁起がよくないと考えます。

それから、亡くなってから一気に整理を始めるのではなく、60歳を過ぎたら一度行う等、区切りをつけていく方が整理しきれるのかもしれません。

以上、実体験に基づいたお話でした。

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