遺品整理体験談:愛と記憶を尊重する片付けの物語

32歳女性、厳選して残さないと決めたものは処分した。

私は30代で、高校の時に母親を乳がんで亡くしました。

高校の時に母親が亡くなった後はしばらく遺品整理をせずにそのままにしていたのですが、ほかの家族と考えた結果、少し生活が落ち着き始めたので、思い切って遺品整理をすることにしました。

正直できる事なら遺品整理をせずにそのままの状態にしていたいという気持ちもあったのですが、いつまでもそのままの状態でいるのはどうなんだろうという気持ちの方が大きかったため、辛い気持ちもありましたが決意した次第です。

このような気持ちで遺品整理をスタートしたので、正直最初は複雑というか、辛かったです。

母親方の親戚の方も遺品整理に加わろうとしてきたのですが、正直よくありがちな親戚間のいざこざのようなものを防ぎたかったので、ここは断って家族だけで頑張りました。

全ての遺品を処分するという気持ちは元からなく、とにかく母親が特に愛用していたものや、特に着用して愛用していた洋服などの物は、処分せずにとっておくという方向にしました。

幸い、我が家は賃貸マンションやアパートというわけではなく、持ち家一戸建てだったので、このような遺品整理をすることができましたが、もし賃貸マンションやアパートだった場合、様々な理由でのスペースの関係で、あまり遺品整理で物を取っておくことはできなかったかもしれません。

そう考えると、この状況で母親の遺品整理をすることができてよかったなと思いましたが、やっぱりそれでも複雑な気持ちではありました。

そんな遺品整理をするうえで、後悔していることは、やっぱり遺品整理で母親の物は全て取っておきたかったなという気持ちがぬぐえなかったことです。

もちろん遺品整理をすると決めたのは自分や家族ですから、全ての物を取っておくということは、遺品整理をしたとは言えません。

しかし、それでもやっぱり遺品整理をしない方がもしかしたらよかったのでは?という気持ちは、遺品されて厳選された母親の遺品を見て未だに感じることがあります。

このように綴っていくと、遺品整理自体がとてもマイナスなイメージのような感じがしますが、一方で遺品整理で厳選された物は、全て母親が最も大切にしていたものや、特に印象に残っているものなのですぐに大切にしていたり印象に残っている物をふと思った時にすぐに見れるのはいいなと思っています。

遺品整理をこれからしようと思っている人は、人によって感じ方は違うとは思いますが、私のように遺品整理をするということはメリットとデメリット、両方が存在しますが、遺品整理をするのも悪くはないということです。

35歳男遺品の中から親父のメッセージ

今から10年前に親父がガンで亡くなりました。57歳で亡くなったのですが、若かったこともありガンの進行がとても早く、仕事を辞めて2か月で亡くなりました。

親父がガンになってから約2年ぐらい、親父が毎晩痛みで苦しんでいるのを見聞きする度、家庭内はだんだん暗くなっていきました。母と一緒に看病するも、ガンという病気に対して何もできず、できることは親父の食べたいものを作ってあげることぐらいでした。

親父は自分の死期を悟りだしたのか、だんだん感情的になり、家族との仲も悪くなっていきました。僕も若かったので喧嘩をしたり、口をきかなくなりました。

親父が死ぬ1日前、昏睡状態になり、翌日亡くなりました。悔しい思いが一気に高まり、もっと優しくしておけば、もっといろいろ話したかった、という後悔が生まれました。

それから10年経ち、親父の部屋もずっと手を付けずそのままでした。仕事で出張や晩年は単身赴任だったので、もしかすると親父が帰ってくるかもしれない、と思ったからです。

本が好きだったので、一冊一冊、親父がどんな本が好きだったか、そんなことを思いながら整理していると、昔家族で行った旅行の写真がたくさん出てきました。その数は500枚以上あったかと思います。一枚一枚、写真の裏にコメントが書いてあり、当時のことを思い出していました。そして一番最後の写真は僕が成人式の時の写真でした。「これからいろいろあると思うけど、幸せになってくれ!」という一言と日付が書いていました。その日付は親父が亡くなる1ヵ月前でした。

ガンと戦う中、親父なりに生き残された者のことを考えていたんだと思うと、涙が止まりませんでした。

1日で遺品整理を済ませようとしましたが、結局1ヵ月かかってしまいました。それほど親父のことが好きだったんだ、という思いと、これから僕自身もっとしっかりしようという気持ちになれました。

遺品整理は故人と会話をするようなものだと思いました。さっさと片づけず、故人がひとつひとつ関わってきたものに対して、何かを察してあげることが供養になるのかもしれません。

38歳男性記憶の中だけのアルバム

福祉の仕事をしてもう10年経ちます。

福祉の仕事では、毎日と言っていいほど同じ空間がありません。

日々変化をして答えが無い状態で働いています。

現場では時に、出会いがあり別れも多い仕事です。

亡くなってしまう現場に立ち会う事もあります。

そうした時は、数か月はショックです。

ですが働いて年月が経つと次第に慣れてしまうものなのです。

ですから親が亡くなってしまう事に対しては抵抗なく受け入れることが出来ました。

なので日常は親が亡くなり早半年過ぎた今では気持ちが落ち着いている日々を過ごしています。

しかし遺品整理となると気持ちが入ってしまうのです。

懐かしい遺品を見た瞬間などにそれは起こるのです。

そうした時、手が止まり昔を思い出してしまう事があります。

時には捨てることをためらい捨てれない状態もあるほどです。

なので遺品の分別には時として感情が入り苦労してしまう事があります。

きっと落ち着いた気持ちとは逆に遺品を目にした時、親の愛情が蘇ってしまうからなのでしょう。

また大切なもの、そうでは無いもの、を見極めながら遺品整理をしているので時間もかかります。

しかし遺品整理にもこの頃は慣れて来ました。

それは気持ちのリセットをしたからです。

例えると実家に掃除に行くという感覚でとらえています。

ですから遺品整理に対しても抵抗がない状態です。

分別も早く出来ている今日この頃なのです。

私の親が他界したのは冬の事でした。

なので始めは部屋の気温も高くは無いので作業は楽だったのです。

しかし気温が上がるにつれて虫が発生したりするので困りました。

半年も遺品整理をしていますが虫の発生は結構ストレスになるので要注意です。

なので、夏場は作業がはかどらず手付かずの遺品があります。

また捨てれない遺品の中にはこんなものがります。

それは親が使っていた携帯です。

私なりにですが携帯はそのまま解約をしないで今でもある状態です。

それは、何時か携帯電話に連絡がきそうだからです。

心配性だった親でしたので今でも見守ってくれているのでは?と感じて解約はしていません。

また親の遺品には今でも悩むものがあるので、時には分別に一苦労をしています。

なので業者に頼もうと思いましたが、プライベートな事とあり自分自身で遺品整理を実行しています。

困る遺品の中には硯や文鎮、書道に使うものです。

また、譲ってもらったであろう本の数々。

この遺品は私には全く興味が無いので、親戚に譲っています。

その結果、書道関係の遺品に関しては半分減りました。

そうして残った分を私が今大切に保管をしている現状です。

また心配性な親だった為に、何処に何があるか解らないのも悩みます。

一番は、家族で写したアルバムです。

このアルバムは親の歴史、家族のありさまそのものなので捨てる事は出来ません。

またプライベートな写真とあり処分にも困るので探して見つけたのですが残念。

状態が悪くアルバムとしては見れない状態だったのです。

なので残念に思いましたが処分をしました。

このアルバムを生前親から譲って貰っていなかった事だけが今では後悔です。

思い出が溢れている写真は大切だと感じて今でも遺品整理をしている日々です。

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