遺品整理で最初に手を付けるべき場所はどこ?

遺品整理は、体力だけでなく心にも大きな負担がかかる作業です。私自身、アドバイザーとして長年ご家族とのお別れに立ち会う中で、「何から始めたら良いか分からない」という声を多く聞いてきました。遺品整理でも同じように、最初の一歩が見えないまま時間だけが過ぎてしまうことは珍しくありません。

そこで本記事では、遺品整理をスムーズに進めるために「最初に手を付けるべき場所」をわかりやすく解説します。心理的ハードルを下げながらも、作業効率よく進められる順番を知ることで、遺品整理はずっと取り組みやすいものになります。

1. まずは「気持ちの負担が少ない場所」から始める

遺品整理で最も避けたいのは、強い感情が湧き上がり途中で手が止まってしまうことです。アルバムや手紙などの思い出の品から始めると、どうしても作業が進みにくくなります。

そこでおすすめなのが、以下のような「感情が揺れにくい場所」からスタートすることです。

  • 洗面所やトイレなどの水回り
  • 台所の消耗品や期限の切れた食品
  • リビングの雑貨類(書類以外)

これらの場所は、比較的淡々と仕分けができ、成功体験を積みやすい点が大きなメリットです。「始められた」「少し片付いた」という感覚が、次のステップへ進む力になります。

2. 小さなエリアを区切って取り組む

いきなり部屋全体に取り組むのは、どなたでも負担が大きいものです。まずは「引き出しひとつ」「棚一段」など、小さなエリアに区切って作業するのがポイントです。

これは動物病院でのケアでも同じで、大きな問題を一度に解決しようとすると心が追いつきません。負担の少ない部分から着実に進めることが、全体に広がる安心感につながります。

3. 思い出の品は必ず後回しにする

写真、手紙、コレクション、衣類など、故人の想いが詰まったものは特に判断が難しいものです。これらに早く手を付けるほど、整理は途中で止まりやすくなります。

思い出の品に取り組むのは「全体の7割ほど片付いてから」が理想です。判断に迷った場合は、無理に決めず「保留箱」に入れて後でまとめて見直す方法も有効です。

4. 共有スペース → 個人スペースの順番が基本

遺品整理における進め方の鉄則として、「共有スペースから始める」ことがあります。リビング・キッチン・洗面所などの共用部分は比較的分類がしやすく、他の家族とも相談しやすいのが特徴です。

その後、故人の個室やクローゼットなどの「個人スペース」に移ることで、心の準備も整いやすくなります。

5. 無理のないペース配分を心がける

遺品整理は、想像以上に心身のエネルギーを使う作業です。長年動物と向き合う飼い主さんの心のケアを見てきた経験からも言えるのは、「休むことも作業の一部」だということ。

一度に長時間取り組むよりも、短時間で区切りながら進めるほうが、結果として作業がはかどります。感情が揺れたときは無理をせず、深呼吸して少し距離を置くことも大切です。

6. まとめ:最初の一歩は“負担の軽い場所”から

遺品整理をスムーズに進めるコツは、最初に手を付ける場所を間違えないことです。負担の少ない場所から小さく始めることで、心の整理も自然と進んでいきます。

思い出の品は後回しにし、共有スペースから個人スペースへと順番に進める。この流れさえ押さえておけば、「何から始めていいかわからない」という不安はぐっと軽くなるはずです。

あなたが大切な方を想いながら、少しずつ前に進める時間となりますように。

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