遺品整理は、体力だけでなく気持ちの整理も必要になるため、思っている以上に消耗する作業です。作業が進まないと「もっと効率よくできたら…」と感じることが多く、そんなときに役に立つのが現場での小さな工夫やアイデアです。
私は動物病院で長く働き、多くのご家族の「お別れの場面」に寄り添ってきましたが、その中にはご自身の遺品整理や家族の遺品整理を経験した方も多くいました。そこから伺った話や、自分自身が向き合った経験は、遺品整理を前向きに、そして少しだけ楽にしてくれる知恵に満ちています。
本記事では、実際の遺品整理で「これがあって助かった」「この方法に救われた」と感じた工夫やアイデアを紹介します。小さな工夫が、作業全体を驚くほど軽くしてくれます。
1. 仕分けは“色のついた付箋”で迷わず進む
仕分け中に頻発するのが「判断に迷う」という場面です。そんなときに役立つのが色分け付箋です。
- 赤:必ず残す
- 青:手放す予定
- 黄色:保留・後で確認
貼るだけで判断が一旦止まり、後からまとめて見直せるため、作業が止まらなくなります。遺品整理業者も実際に近い方法を使うことがあります。
2. “保留ボックス”を作るだけで気持ちがラクになる
思い出の品が多いと、整理が進まなくなる瞬間が必ず訪れます。そのために用意したいのが保留ボックスです。
「今判断しない」と決める仕組みにすることで、後悔を防ぎつつ、作業速度を維持できます。特に写真・手紙・ペットの思い出品などは、時間を置いてからの方が冷静に判断できることが多いです。
3. “カテゴリごと”ではなく“部屋ごと”に進める
「衣類だけ整理する」「本だけ片づける」などカテゴリごとに進める方法は、一見効率が良さそうですが、実は混乱のもとになりがちです。
遺品整理の現場では、部屋ごとに完結させる方法が圧倒的に進めやすいとされています。
- 玄関 → リビング → 寝室 → キッチンの順に進める
- その部屋が片付くまで他へ移らない
- 終わった部屋に荷物を戻さない
スペースが空くことで動線が良くなり、作業効率が上がります。
4. “写真の仕分け”は専用スペースを作る
写真は遺品整理でもっとも時間がかかる項目です。感情が揺れるため、一つの写真で数分手が止まることもあります。
そこで有効なのが写真専用の仕分けテーブルを作ることです。
- アルバム作成用の候補写真
- デジタル化する写真
- 保留写真
このように分類しながら作業すると、集中力が切れずに進められます。
5. “作業時間を区切る”ことで心身の負担を減らす
遺品整理を一気にやろうとすると、必ず疲れが出て判断力が落ちます。経験者の多くが取り入れていたのが時間制ルールです。
- 1時間作業したら15分休む
- 午前・午後に分けて無理のない量を決める
- 夜の作業は避ける(判断力低下を防ぐ)
集中力を保ち、誤って大切な物を処分するリスクも減らせます。
6. “作業を写真で記録”すると後からの確認が楽
片づけの途中で「本当にこれでよかったかな?」と不安になることがあるため、スマホで記録を残す方法が非常に役立ちます。
- 仕分け前の状態を撮っておく
- 貴重品や思い出品を記録する
- 後から家族と共有しやすい
記録があるだけで気持ちの整理がつきやすく、家族間のトラブルも防げます。
7. “作業を一人で抱えない”のが最大のコツ
遺品整理を経験した多くの人が口を揃えて言うのが、「一人で全部やらなくてよかった」ということです。
- 家族で役割分担する
- 友人に数時間だけ手伝ってもらう
- 重い家具だけ業者に依頼する
たとえ部分的でも誰かが協力してくれるだけで、心の負担は大きく減ります。
8. まとめ:小さな工夫が遺品整理を大きく助けてくれる
遺品整理は気持ちの揺れやすい時間だからこそ、効率だけを追うのではなく自分のペースを守る工夫がとても大切です。
色付箋、保留ボックス、動線づくり、写真専用スペース、時間管理——こうした小さな工夫が積み重なり、作業が驚くほど軽くなります。
故人への想いに寄り添いながら、無理のない方法で少しずつ進めていく。そんな穏やかな遺品整理の時間のために、ぜひ今回紹介したアイデアを取り入れてみてください。
