遺品整理において、「残す」「捨てる」だけが選択肢ではありません。
もう一つの道──それが寄付・寄贈という方法です。
亡き人が大切にしていた衣類、書籍、趣味の道具たち。それらを「想いとともに」次の誰かに引き継ぐことは、単なる整理ではなく、“未来への贈り物”ともいえる行為です。
なぜ寄付・寄贈が選ばれるのか?
遺品整理を経験した人の中には、「ただゴミとして処分するのが辛い」「使えるものを捨てるのがもったいない」といった想いを抱える方が多くいます。
そんな時に浮かぶのが、「どこかで役に立ってくれたら」という気持ちです。
特に以下のような理由で、寄付・寄贈は注目されています:
- 故人の生きた証を社会に還元したい
- 再利用することで環境に配慮したい
- モノが新たな価値を持つことに救われる
寄付・寄贈できる代表的な遺品
- 衣類:洗濯済みで状態のよい服はNPOや児童養護施設などへ
- 本・CD・DVD:図書館や病院、ブックリサイクル団体が受け入れ
- 眼鏡・補聴器:海外支援団体が回収・再利用
- 車椅子・医療器具:地域の福祉センターや高齢者施設
- 楽器・スポーツ用品:子ども支援NPOや教育機関
「これも寄付できるの?」と悩んだときは、自治体のリユース情報や、専門NPOの受付リストを確認するとよいでしょう。
寄付・寄贈の前に気をつけたいこと
善意であっても、必ずしもすべての団体がすべての物を受け入れているわけではありません。次の点に注意が必要です:
- 事前に問い合わせる:持ち込み・発送の可否、必要な状態などを確認
- 破損・汚損の確認:使えないレベルのものは断られる可能性大
- 想いを込めすぎない:手放す決意もまた大切
特に故人の思い出が強く宿る品は、「供養の気持ち」を込めて送り出す姿勢が必要です。
実例:母の着物を支援団体へ
ある女性は、母親の遺品である着物一式をどうするか悩んでいました。
捨てるには惜しい。かといって自分では着ない。
悩んだ末、途上国支援の一環として着物リメイクを行っている団体に寄贈することを選びました。
その後、届いた写真には、現地でドレスにリメイクされた着物を身にまとう子どもたちの姿が。
「母の着物が、また誰かの人生を彩っていると思うと、涙が出ました」と語っています。
まとめ|手放すことは、次に託すこと
遺品を寄付・寄贈するという行為は、決して“物を減らす”だけの行為ではありません。
それは、故人の想いや生きた証を、社会や未来にバトンとして託すこと。
遺された者の心にも、新たな意味と希望が生まれます。
「ただ捨てる」ことに迷いがあるなら──「誰かに託す」ことを、ぜひ選択肢に加えてみてください。
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